【小話】賑やかな人々

■登場人物説明■
薄野五月……眼鏡&ローテンションなツッコミ体質。
薄野九月……五月の妹。お姉ちゃん大好きっ子。意外と毒舌。
薄野一月……五月の従兄。テンションがおかしい。

宮田厚………五月のクラスメート。人体模型の御木本さんといつも一緒。
山本節子……五月のクラスメート。何でも拳で解決する少女。

大久保仙太郎…人形劇部の先輩。割と常識人に見えた変人。
中村優子………人形劇部の先輩。骨格標本の君川君といつも一緒。

※初期設定バージョン会話形式小話その2。腹黒い九月がいます。

■節子さんと五月■
山本「薄野さん、ちょっとお話が……」
薄野「何です?」
山本「最近困っているの。人間が全部人体模型に見えるの……!」
薄野「眼科へ行って下さい」
山本「それだけじゃないわ! 気がついたら無意識に姿を探しているの」
薄野「恋ですか」
宮田(何てことだ……まさか山本が御木本さんに恋……!? 御木本さんが魅力的なばかりに!)

山本「このままだと誰かれ構わず殴ってしまいそうで……」
薄野「いっそボクシング部とかに入部したらどうですか」
山本「(はっ!)それもそうね! ありがとう薄野さん!私、頑張る!」
宮田「走って行ったけど、この学校ボクシング部あったっけ?」
薄野「さあ」
宮田「……」
薄野「……」

 

■九月と一月■
九月「おねーちゃんどこかなー?」
一月「確かあっちのクラスだったかしらね。それにしても珍しいわねー、五月が忘れ物するなんて」
九月「珍しいよねー。おねーちゃん、何度も確認するから忘れ物あんまりしないもの」
一月「そうよね」
九月「まぁ意図的だけど」
一月(犯人!!)

一月「ああ! ここよ、ここ」
宮田「あれ?薄野妹に薄野従兄……」
九月「あ、こんにちは変態!」
宮田「ちょ!? いきなり何叫ぶの誤解されるでしょって、ち、違う! 皆さん、違いますからーー!!」
一月「焦っている所が怪しいわ!」
宮田「煽るな!」

薄野「宮田うるさい。……って、あれ?九月とひー兄、何しとんです」
九月「あっおねーちゃーん! おねーちゃーん! お弁当届けに来たのー!」
薄野「お弁当? それならちゃんと詰め……あれ? ない!?」
九月「うふふ。はいどーぞ」
薄野「おかしいなぁ。確かに……とりあえず、ありがとう」
九月「えっへへー」
一月(恐ろしい子ッ!)

宮田「薄野妹。お前はいい加減に俺の名前を覚えてくれ」
九月「いや。おねーちゃーん! おねーちゃーん! あのねっ」
宮田「……」
一月「ごっめんねぇ厚。くーったら頑固だから」
宮田「いえ、いいっす……」
一月「でもアタシも人体模型を連れて歩く奴は変態って呼びたいかなっ」
宮田(酷い!!)

 

■大久保先輩と中村先輩■
中村「ねぇ大久保君。私、オリジナルの人形劇のシナリオを考えたの」
大久保「へえ、どんなの?」
中村「牡丹ちゃんと薔薇夫と、白っぽい巨塔」
大久保「版権問題になるからやめろ。しかもなんでそんなドロドロっぽいのにした」
中村「違うわ! ドロドロじゃないわ! 奈落一直線よ!!」
大久保「最悪だ!」

大久保「なぁ中村……前から思っていたんだがな、お前……」
中村「うん」
大久保「ハッピーエンド嫌いだろう?」
中村「え? 好きよ?」
大久保「そうなのか? だって考えてくる話いつも真っ黒というか、最悪な終わり方するじゃないか」
中村「あれは演出のひとつよ。ほら、よく言うじゃない。他人の不幸は蜜の味って」
大久保「人形劇にそんな不幸はいらない」

中村「ねぇ大久保君。私、宮田君を見ていて思う事があるの」
大久保「宮田?」
中村「どうして私の君川君は動かせないんだろうって」
大久保「そりゃお前のろっこんとは性質が違うからだろ」
中村「本当に!? 本当にそれだけの違いだと思うの!?」
大久保「それ以外に何の違いがあるんだよ」
中村「大久保君が君川君を愛さないから!」
大久保「まるで俺が御木本さんを愛しているかのような表現はやめろ」

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